勝俣部長の「ため息」1747・・・・一滴物語

1月18日 月曜日

                                                   
                                                         (北陸「金沢」)



  好き勝手に 言いたい放題
それは ソレは 高価だった


 入社した頃だから・・・・半世紀も前の話し・・・・イヤ事件と言うべきかも知れない。
 当時、所属する課で、大商(オオアキナイ)いをさせて戴いてた得意先があった。
 そこに豪農出の営業部長さんがいた。
 あるとき上司の課長と二人して、自宅に招かれた。
 想像を超える大豪農のであった。
 色々飲み食いさせて戴き・・・・しばしして部長さん、
   「君達 バランタイン30年物 飲んだ事ありますか」
と来たのである。
 名前は知るものの、バランタイン17年どころか、バランタインそのもを飲んだ事が無い。
 さすが豪農、営業部長・・・・是非、味わって見たいです。
 やおら部長さん、奥の部屋に消えた。 
 30年を片手に再び登場。
 と共に、小さな小道具も持っている。
   「じゃ お二人さん 舌を出して下さい 舌を」
 小道具は万年筆にインクを注ぐ・・・・そうスポイトである。
 スポイトに30年を少なめに吸い取らせ・・・・我々が差し出した舌の上に一滴
   「どうだ 凄いだろう」
 部長さん・・・・せめて後一滴。
 今思えば、非劇ではなく、喜劇的な事件である。
 当時ソレは それほどに高価・・・・イヤ 手に入らないモノだったのだ。
 今もって鮮明に記憶する、懐かしい事件である。
 つづく。


 当時を思い出しながら さあ 水だ